ウェブサイト・リニューアルのポイント

個人でもウェブサイトをオープンするネットユーザーが増えている。規模の大小にかかわらず、ウェブサイトを持たない企業は、会社の評価そのものが低くなると考えられる時代が近づいている。すでに現在は、「あって当たり前」という考えが一般的である。最近、特に依頼が多くなったコンサルテーションのうち、ウェブサイトのリニューアルを実施する際のポイントを整理してみた。企業・個人のサイト管理者、IT導入の責任者の方は、是非ご一読いただき、戦略的なリニューアルの成功を目指していただきたい。 (このページの内容は、予告なしに変更されます。) 問い合せはこちらまで

●激増するウェブサイトとリニューアル

  1. リニューアルの原因は「ノーデザイン」と「思いつきのコンテンツ」?

    多くの個人サイトや小さな企業のウェブサイトは、まるでワープロでチラシを作成するような感覚で制作されているものが多い。特に、制作者がひとりの場合には、様々な観点からの必要なチェックが行なわれず、ブラウジングテストも行なわれず、結局、制作者のスキル、キャリア、嗜好や性格がそのままサイトに反映されてしまう。ごく稀に、これが成功に繋がることがあるが、ほとんどのケースでは、正しく評価されないまま、問題点の指摘もされず、延々とネット上に存在し恥をさらすことになる。多くの訪問者の目的はサイトの評価ではないので、ウェブを見て多少見苦しく感じたり、不満を感じても、管理人にそれを細かに教えてはくれない。多くの企業サイトの場合も同様である。日本のインターネット・ユーザーの場合は特に、「Take」に比べて「Give」の精神が弱く、間違いを指摘したり、建設的な意見を言ってくれる訪問者は大変少ないのである。

    質の高いサイト制作の専門業者に依頼する場合は、デザイナーのチェックやブラウジングテストが開発プロセスに盛り込まれ、ソツのない仕上がりになるだろう。そうでない場合は(お金をかけずに内製しようとする場合は)、制作者自らが制作のテクニックに加えて、ウェブサイトの評価ポイントを理解し、厳しくセルフチェックをする必要がある。ウェブサイトをリニューアルしなければならない立場の方は、このことを理解していただいた上で、「なぜリニューアルしなければならないか」、「何が間違っていたのか」、「何が不足していたのか」を調査し、当てはまる部分を見直しながら、新しいサイトのイメージを構築してみてください。

  2. 意味のないリニューアルは止めよう!

    新しいコンテンツも無く、社内から具体的な要請もなく、ユーザーからの要望もないなら、見かけだけのリニューアルは止めた方がよい。無駄なコストを消費するだけである。Flashを使いたいとか、Blogを盛り込みたいとか、制作する側にも様々な要求があるはずである。だがそれは、あくまで企業の経営戦略としての要請を受けて行なうべきものである。つまり、制作者のスキルアップや最新技術の導入そのものを目的として行なうものではない。リニューアルより優先順位の高い課題がないですか?

    リニューアルを、「最初のウェブサイトの失敗」と捉えるか、「時代の変化への対応」と捉えるか、「事業の拡大に伴う機能拡張」と捉えるかは、ケース・バ・イケースであろう。しかし、リニューアルを実施する場合には、最低限、下記のポイントを理解して実施して欲しい。リニューアルは外見を変えることではなく、従来のウェブサイトで今まで伝えられなかった情報を、これまでより正確かつ迅速にユーザーに伝達する仕組みとコンテンツを再構築することである。カンによるリニューアルも止めよう。

  3. リニューアルの前に

    まず、ビジネスプロセスと消費者行動を見直し、ウェブサイトとの関係を再確認してみることが重要であろう。たとえば、ユーザーの、認知-決定-リピート、という一連の行動パターンを想定してみると、ウェブサイトが関わる領域がより明確になるだろうし、これに、営業実績を加味すれば、今後強化しなければならない領域がどこであり、したがって、実施すべき施策が何かも自然に絞り込まれるはずである。

    典型的な失敗例は、お金をかけたくないと考えるがゆえに、自分(達)だけでスタディし制作し、「形」ができたときに力尽きてしまい、その後効果分析も何のフォローもしない、というケースである。ウェブに「完成」はない。常に、環境の変化に対処できるようアンテナを張り、ダイナミックにアップデートを繰返さなければならないものである。リニューアルも通過点に過ぎないのである。

●リニューアルのポイント

  1. まずサイトの目的を再検討する

    まず、次の条件にあてはまるウェブサイトは、目的の再検討から実施する必要がある。

    ■ターゲットユーザーが誰か即座に答えられない
    ■コンテンツは、いつからか、制作者の思いつきで更新している
    ■すべてひとりで制作した

    ウェブサイトを企業の経営やマーケティングの中核のひとつとして捉え、販売力・競争力強化のための戦略的ツールとして活用している企業はまだ少ない。一切のプロモーションをせず、ウェブだけでビジネスに成功している企業も稀に存在するが、それらの成功例を見ると、明らかに異なる点がある。それは、サイトの目的は何なのか、 ターゲットユーザーが誰なのかが明確であり、そのためだけに、すべてのページが存在し連携していることである。企業のサイトを運営していくにはそれなりの人的資源やコストが必要であるが、いつのまにか、サイトを維持することが目的になっているサイトも多いのではないだろうか。こうしたサイトは、思いつきでコンテンツを増やし更新していることが多い。

    最も大切なのは、サイトを維持することではなく、サイトを運営して本来の目的を達成する、ということである。具体的には、商品・サービスの販売サイトで直接利益を得るのか、実際の営業活動を支援しビジネスに結びつける窓口やきっかけとするのか、自社(ブランド)への認知やロイヤリティを高めるための情報発信基地とするのか、原点に立って考え直してみるべきである。目的が確認できれば、現サイトに欠けているものが何か見えてくるはずである。

    目的が決まらないなら、サイトをクローズすることも検討しよう。サイトを維持するなら、既存のサイトのコンテンツにとらわれず、目的に応じたコンテンツをそろえてみる。目的とコンテンツがそろえば、業務に精通する制作者なら、自然にコンテンツの配置が決まってくるはずである。

  2. コンテンツの魅力を向上させる

    いつ訪問しても同じ画像とテキストが掲載されているサイトは、当然飽きられる。リニューアルは、新規のユーザーを開拓するチャンスであると同時に、コンテンツに飽きられ、サイトを離れていった訪問者を、もう一度リピーターとして引き戻すための大切なチャンスでもある。オープン後数年経過しているサイトでは、まず、コンテンツのリニューアルの前に、新しい情報を提供していくための新しい「仕組み」を構築することを検討しよう。たとえば、商品・サービスを紹介するページでは、商品・サービスのユニークネスや特性が、魅力となってユーザーに伝わる表現方法を整備し確立していくことである。次のようなサイトは、その効果が期待できる。

    ■アクセス数が少ない、伸びない
    ■商品・サービスは優れている
    ■リピーターが少ない
    ■ウェブデザインの最新動向を知らない

    ただし、 これは最新のインタラクティブな技術を導入することだけを意味するものではない。商品・サービスによっては、シンプルな画像や文字の方が魅力的に見えることが多い。特に、トップページはそのウェブサイトの「顔で」ある。文字が小さくて見難い、文字が英語でわかりづらい、FLASHムービーが邪魔でイライラする、といったマイナスイメージを絶対に与えてはならない。さらに、ウェブだけではそれを伝達できない商品・サービスもある。時には、他のメディアと連携したプロモーションも必要になることを理解しておこう。

  3. コンテンツをレイアウトしなおす

    コンテンツがひととおりそろっていても、重要なコンテンツがユーザーに伝わっていないことがある。まず、今あるコンテンツを、ウェブの目的を考慮してランク付けしてみる。次に、より高いランクの情報を中心に再編集してみる。ユーザーをどう導いていくかという観点から、各ページに振り分ける。そして、振り分けられたページのどこによりランクの高い情報をレイアウトすればよいか検討する。このプロセスを通じて、統一感があり、ユーザーにとって重要な情報をキャッチしやすいウェブページが完成するはずである。次のようなサイトは、並べ替えによる効果が期待できる。

    ■コンテンツは充実している、幅広く豊富である
    ■デザインも優れている
    ■このサイトでしか見れないコンテンツがある
    ■ページごとのアクセスのバラツキが激しい

  4. ユーザビリティを向上させる

    ユーザーから見た「使いやすさ」は、ユーザーでないとわからない。「使いづらい」という声が届いたら危険信号と捉えるべきである。しかし、もっとも怖いのは、黙って去っていくユーザーである。(日本ではこれがほとんど。) 特に、次のようなサイトは操作性の変更が必要となるだろう。

    ■トップメニューのボタン(メインメニュー)が7個以上ある
    ■要所にFLASHや動画を埋め込んでいる
    ■2クリックで必要なコンテンツにたどりつけない
    ■全画面でもスクロールバーを多用しないとコンテンツが見れない(特に横スクロール)
    ■トップページのみアクセスが多い

    サイト内の操作の統一化、ボタンの位置や並べ方の整合性、メニューの言葉の分かりやすさ等、ユーザーの立場で再検討すべきである。1ページに情報を詰め込み過ぎたり、ユーザーが誤解する表現も問題である。これらは、ウェブサイトに使う部品や表現手法の正しい使い方を理解していないことに起因する場合が多い。

    参考: ホームページ制作-TIPS

  5. SEO(Search Engine Optimization)=サーチエンジンへ再登録する

    これは、営利目的のサイトに関して、もっとも重要なリニューアル作業となる。というのは、デザイン事務所等の専門業者に発注しても、ここまでは面倒を見てくれないのが普通である。そもそも、検索エンジンの仕組みとウェブサイトとの関係を正しく理解している制作者が非常に少ないようである。せっかくオープンしたサイトが「Yahoo」や「Google」で検索できなければ、営業機会のロス、結果的に営業損失となるばかりでなく、企業イメージのダウンにも繋がる。ウェブデザイナーは、サイト&ページデザインのプロであるが、消費者行動のプロではない。検索エンジンへの登録とメンテナンスは、検索エンジンと消費者行動を熟知する者が、長期的・定期的に見直しアップデートするのが当たり前である。これを忘れている企業は、ネットビジネスの中で競合企業に、いつのまにか敗北することになるだろう。特に、次のようなサイトは、速やかに改善し再登録すべきである。

    ■インデックスページにキーワード文がない。(メタ・キーワード文とメタ・ディスクリプション文がない)
    ■キーワードにするべきテキストを画像化している(キーワードとして抽出すべきテキストがない)
    ■制作者が検索エンジンに関する知識を持たない(巡回ロボットを知らない)

    まず、新規のユーザーが検索エンジンに使用すると予想されるキーワードを検討する。各検索エンジンの特性を理解した上で、これらのキーワードとディスクリプションをインデックスページのヘッダー部分に配置する。2〜4週間ごとに検索テストを実施し、結果を更新する。URLが変更されたのなら、新しいURLを申請・推薦し、旧サイトの削除依頼を行い、旧サイトにリダイレクトページを置く。キーワードが最適化されると、数少ない特定の企業は、ウェブのみでビジネス目的を達成することが可能になる。(幸運にも、たまたま検索結果のトップに表示されることもある。)

    メジャーなサーチエンジンは、各々改善され、進化している。ちょっと油断していると、同じキーワードによる検索でも、結果がまったく異なってしまうことがある。また、エンジンによっては、登録されたキーワードは同じでも、リンク先が増えることにより、検索結果が改善されることもある。ウェブ制作者にとって、サーチエンジンを知らないことは、ウェブを戦略的に活用する機会を失い、リニューアルを失敗させる最大の要因となるだろう。ただし、SEOだけで目標集客数に達しない場合は、当然他のプロモーション手段(相互リンク、バナー広告、キーワード広告、メルマガ広告、オークションサイトやショッピングモールに出店する事による誘導等)も検討するべきである。

  6. ネット以外のプロモーションと併用する

    業種によっては、ネット以外の世界でのプロモーションも大変効果的である。例えば、チラシ、広告、DM等と併用すれば、一紙面上だけでは訴求し切れない内容を、ウェブサイトへ誘導することによって十分に説明できるだろう。FAX広告も最近効果が再認識されている媒体の一つである。他に名刺や電話による宣伝も考えられる。

    最も効果が大きいのは、パブリシティでマスコミを利用することである。マスコミは一般に、信頼度が高く、そこから発信される情報も、信頼される傾向が高い。新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で紹介された内容を見てウェブへアクセスする人々は、一時的ではあるが急増する。ただし、こうした広告宣伝のコストは、インターネットのメルガマとは桁違いに高額となる。規模の小さな企業にとっては、数年に一度の決断となるだろう。ウェブのリニューアルと同期を取って、最も効果が期待されるタイミングで実施して欲しい。

  7. 制作環境を見直そう

    たとえば、ページをアップデートする際に、使用するツールを見直してみよう。ビルダーソフトウェアは、各社ともユーザーインタフェースや機能に違いがある。最初に使用したビルダーに固執するあまり、もっと簡単に最適な表現方法を追加できるチャンスを失っていることが多い。つまり、画像やテキストが中心のページで構成されるサイトを管理していくには、HTMLの知識が不可欠であるが、ビルダーに依存し過ぎる制作者は、HTMLのソースを理解できないため、ビルダーのメニューにない新しい表現方法を組み込みたくても、お手上げになってしまう。制作するサイトの特性に合わせて、より使いやすいビルダーや他のオーサリングツールを選んで使用するということが望まれる。

    また、ユーザーは、15インチの液晶モニターの付いた Windows パソコンのみを使用しているとは限らない。ブラウザも、最近は、リスクの高いインターネットエクスプローラを避けて、他のブラウザを使用するユーザーも少なくない。リニューアルするなら、いっしょに制作環境も最適なものに変えていこう。

  8. そろそろセキュリティも検討しよう

    ウェブサイトへの不正アクセス、DOS攻撃等に対する対応、個人情報保護に関する法律等への対応等、ウェブの関係者を取り巻く環境は厳しくなっている。リニューアルの際には、特にサーバーに企業情報や個人情報を保存している企業は、暗号化やパスワード保護等によるセキュリティ対策を必ず実施するべきである。次のようなサイトは、リニューアルの際に改善して欲しい。

    ■個人情報を含む業務データを暗号化せずに、ウェブサーバーに保存している
    ■独自ドメインで運用している(IPアドレスが固定で狙われやすい)
    ■ファイアウォールもプロキシも使用していない
    ■セキュリティ・ポリシーがなく、セキュリティの担当者もいない

    なお、これを機会に、「プライバシー」マークの取得を目指される企業は、一般に1年以上の期間が必要になる。早期にCP(コンプライアンス・プログラム)を策定・実施し、社員の意識改革をはかり、社内での実績を積み重ねて置くべきである。

  9. メンテナンスの仕組みと支援体制を確立する

    ウェブは、利益獲得を目的とする企業にとって、営業戦略の要である。一個人の嗜好でビューやコンテンツが変更されるべきものではない。一方、サイトがオープンすると、ウェブマスターはその保守に予期しなかった労力を費やすことになる。ウェブサイトに関する社内の理解とトップマネジメントの参画を含めた支援体制が確立されていないと、かつての社内業務システムのように、要求ばかりがのしかかり、いつのまにかユーザー不在の、目的を逸脱したサイトに衣替えしてしまうかもしれない。次のようなサイトは、リニューアルの際に、必ず長期的な支援体制を確立して欲しい。

    ■専任のウェブマスターがいない
    ■メンテナンスにコストをかけたくない(例:数万円/年)
    ■要求をウェブ上で実現するまでに手間と時間がかかっている

    また、社内にウェブのプロがいなくても、フリーのプログラム等を効果的に利用することにより、コンテンツの新規登録や更新を効率的に行なうことができるかもしれない。たとえば、日々更新する画像やテキストがあるなら、現場からインターネットブラウザを使って直接アップしてもらうことにより、ウェブマスターの負担を軽減し、更新のタイミングを早くすることによりサービスレベルを向上させることができる。

●低コストでリニューアルするために

  1. 無料プログラムを利用する

    インターネットには、無料または安価な様々なプログラムがアップされており、ダウンロードして使用可能である。掲示板やアルバムなどは、わずかのカスタマイズで業務情報のやり取りや管理にも利用できる。通信販売用のパッケージを利用すれば、ウェブ上に標準的な受注・在庫・納品までの業務システムが構築できる。その他、認証、リンク集、画像変換、クリッカマブル・マップ作成、PDF作成、GIFアニメーション作成等、ネットを検索すればヒットするはずである。

  2. 無料ブログ、無料チャットを利用する

    まだ少ないが、ブログを有効活用してマーケティングを推進している企業もある。上手に使えば、自社の製品・サービスのイメージアップに貢献するだろうし、アイデア次第では、直接ビジネスに結びつく仕組みとなるかもしれない。なお、こうしたコミュニケーションツールを利用すると、企業情報や個人情報の漏洩等の副作用をもたらす可能性があることを認識しておかねばならない。

  3. 外部のリソースを効率よく使う

    基本的に、ウェブサイト制作業者は、他人の制作したサイトリをニューアルすることは好まないはずである。新規サイトとして見積もり、デザインするのが普通である。もし、リニューアルも自社のスタッフで行なうつもりなら、アドバイザーとして妥当な料金で協業してくれるフリーのデザイナーやコンサルタントを探してみるとよい。問題点の指摘からサンプルの作成まで、効率よく裁いてくれるデザイナーがいるはずである。また、特定の部品(FLASH等)だけを作成してくれる業者もいる。

  4. 制作・保守方法を改善する

    ビルダーが使えないとウェブページのアップデートはできない、という考えを捨ててください。ブラウザからウェブページを更新できるソフトやサービスを提供している業者もおり、これらを有効利用すれば、たとえば、知識のないユーザーが分担して管理することも十分可能である。