Windows の歴史と Windows XP

ITに関係する方々が知っていて欲しい Windows の歴史と 2001年11月から発売されている Windows XP の概要と評価です。今後、WindowsXP を使用するユーザーはご一読ください。アップグレードの制限、価格等の製品情報に関しては、マイクロソフト社のWebサイトを参照してください。問い合わせはこちらまで

Windows の歴史

○MS-DOS から Windows へ

1981年に IBM 社の依頼により、「IBM PC」用に Microsoft 社の開発した「PC DOS 1.0」が、DOSの最初のバージョンとして登場した。翌年、IBM 社から販売権を獲得して発売したのが「MS-DOS 1.25」である。DOS は、Windowsのようなグラフィカル・ユーザーインタフェースは有しなかったが、ビジネス・ユーザーからも、パーソナル・ユーザーからも幅広く受け入れられた。

その後、IBM PC互換機の登場により MS-DOS が標準的なパソコン用OSとしての市民権を獲得し、Windows 3.1 の登場によってパソコンの標準的な OS は Windows に移行していく。

PC-DOSは、IBM 社が Microsoft 社から OEM 供給を受けて販売している DOS で、Microsoft が独自に販売している MS-DOS に、IBM 独自の拡張が施されている。途中から IBM版 と MS版 に別れ、各々競合しながら進化していく。

その後、1985年に「Windows 1.0」がリリースされたが、稼動するアプリケーションが少なく、ユーザー・インタフェースもウィンドウをタイル状に並べる構造で、MS-DOSのシェル拡張機能の域を出ず、ブレイクするには至らなかった。1987年には現在と同じくウィンドウを重ね合わせる構造の「Windows 2.0」が発表された。プロテクトモードを使用してDOSの制限であった640KB以上のメモリが利用できるようになり、DTPなどの重いアプリケーションも稼動できるようになった。(詳細は省略。)その後バージョン2.1がリリースされた際に「Windows 286」と改名された。1987年にはIntel社の最新CPU、「80386」の能力を最大化するための「Windows 386」が発売された。この頃、日本では「DOS/V」とは非互換のPC-9801シリーズが全盛であり、NEC社は独自に「Windows 2.1」「Windows2.11」を開発していた。

○Windows 3.0 & 3.1

1990年に、「Windows 3.0」が出荷された。 エンジンの構造はまだDOSの延長上にあったが、Windows 95/98/Me と類似した機能とアイコン等のユーザーインタフェースを持ち、「プログラムマネージャ」、「ファイルマネージャ」等も加わり、使い勝手は格段に向上した。そして1992年に、筆者が始めて使用したWindows、「Windows 3.1」が発売された。このバージョンでは「True Typeフォント」などの新しいアーキテクチャーに基づく技術が採用され、安定性も向上した。この時期に、各ベンダーも Windowsアプリケーションの開発に本腰を入れ始めた。

○Windows 95/98/Me

1995年には、現在のパソコンブームのさきがけとなる「Windows 95」が発売された。パソコンは、ビジネスの世界でも一般家庭にも、完全に浸透することになった。これに拍車をかけたのは、言うまでもなくインターネットであり、パソコンはコミュニケーションのツールとしても不可欠の存在になった。(「ダイヤルアップネットワーク」や「Internet Explorer」は「Windows」本体ではなく、オプションの「Plus! 95」に同梱されていた。)

その後、1997年に「Windows 95 OSR2」、1998年に「Windows 98」、1999年に「Windows 98SE」、2000年に「Windows Me」が発売された。個人向けOSとして位置付けられる、これらののラインは「Windows Me」で終了する。(「Windows Me」の後継OS が「Windows XP Home Edition」である。)

○Windows NT & Windows 2000

以前のOSの資産やアプリケーションの互換性を引きずりながら拡張されてきた Windows 9x ファミリとは異なり、過去のしがらみを全く捨てて、純粋にOSに必要な機能を検討しデザインされたのが「Windows NT」シリーズである。まず、1993年に「Windows NT 3.1」がリリースされた。このラインは、その後、「Windows NT 3.5」、「Windows 3.51」、「Windows 4.0」「Windows 2000」と続いていく。(「Windows 2000」の後継OS が「Windows XP Professional」である。)

これらの2系統のOSを抱えることになったマイクロソフト社は、「Windows 2000」でカーネルの統合を試みた。しかし、互換性を保つのが予想以上に困難なため、この統合は次期OSまで延期された。つまり、「Windows XP」は2系統のWindowsファミリーの統合版である。(構造的には、「Windows 2000」の後継OSである。)

●Windows XP の概要

マイクロソフト社の記述によれば、「Windows XP」には、エントリー/ホームユーザー向けを対象にした「Windows XP Home Edition」、ビジネスユーザー向けの「Windows XP Professional」、そして「Windows XP Tablet PC Edition」の3種類のパッケージがある。ここでは、「Windows XP Tablet PC Edition」に関しては省略し前二者について記述する。
組み込まれているカーネル(中核プログラム)は同じである。しかし、ネットワークやシステムリカバリーなど、いくつかの機能に差がある。構造的には、「Windows XP Home Edition」は、「Windows XP Professional」のサブセットである。

○どちらのバージョンを選択するか

スタンドアロンのアプリケーションやインターネット・クライアントとして使用するのであれば、「Home Edition」で十分といえるかもしれない。しかし、ネットワークの構築を前提としているケースやマルチプロセッサ環境のパソコンを使用するケースは、「Professional」を選択すべきだろう。また、最近の高機能ノートPCをフル活用する場合も「Professional」版を選択することをおすすめする。

○Windows XP の特徴

「Windows XP Home Edition」、「Windows XP Professional」で共に提供されている機能は次の通りである。

機能名称
機能概要
高い安定性と堅牢性 フリーズの少ない Windows 2000 のカーネルをベースとして開発。特に、Windows 98/Me のユーザーは、高い安定性を実感できる。
新しいユーザーインターフェース 「スタートメニュー」から Windows XP やアプリケーションの機能を効率よく実行可能。もちろん、従来のアイコンベースのインタフェースもカスタマイズ可能である。
ClearType 新しいフォントレンダリング技術で、ノートPCや一部デスクトップPCの液晶画面上で、モノクロテキストを明瞭に表示させる技術。
Windows Media Player for Windows XP マルチメディア・データをを高度に処理するメディアプレイヤーが Windows XP に合わせて再開発された。さまざまな「スキン」の切り替えが容易にできる。
Windows Messenger インスタントメッセージング、音声/ビデオ会議、アプリケーション共有の機能を持った通信ツールの拡張。
簡単なネットワーク・セットアップウィザード
家庭でもネットワークを簡単に構築し、ネットワーク上の周辺機器の共有ができる。
容易なワイヤレス接続 802.1x規格のワイヤレスネットワークの自動構成が可能。ワイアレス接続をOSレベルで標準化した。
起動パフォーマンスと電源管理の改善

従来の Windows に比較して、ACPIなどの技術革新により、起動とレジュームからの再開が著しく高速化された。

マルチタスク/マルチユーザー対応 ユーザーの切り替えがログオフなしでスムーズに行える。別のユーザーが、たとえばWebサイトからデータをダウンロードしている最中でも、ログオフなしで別のプログラムの実行が可能。
インターネット接続ファイアウォール インターネット接続時に、自動的に権限のないアクセスから保護。
Internet Explorer プライバシーサポート Webサイトアクセス時に、個人情報を保護。
全言語バージョン共通のバイナリを提供 どの言語バージョンでも、任意の言語の入力が可能となり、任意の言語バージョンの アプリケーション(Win32)を実行可能。
ヘルプとサポートセンター トラブル・シューティングと充実したヘルプとサポートの提供。
 
○Professional のみで提供されるサービス

「Windows XP Professional」のみに提供されている機能は次のとおりである。かなりの違いがあるように見えるかもしれないが、パワーユーザーとシステム管理者向けのサービスがほとんどであり、個人ユーザーになくて困る機能はないだろう。しいて上げれば、モバイル・ユーザーにとっては、「リモートデスクトップ」、「オフラインファイル」あたりが便利ではないだろうか。(使いこなせれば、であるが。)

特に、「リモートデスクトップ」は、ネットワークに接続されている他のどのパソコンからも快適に操作できるので、CD-ROMドライブを内蔵していないパソコンやモニター画面やキーボードの小さいノートPCなどでは大変便利である。クライアントPCのCD-ROMドライブを自動マウントして利用できるし、コピー&ペースト等の操作も可能である。例えば、遠隔地のクライアントPCがフリーズした場合、リモートPCを再起動するために、「Ctrl+Alt+Del」をリモートPC側に送ることができる。(実際には、「Ctrl+Alt+End」キーを入力する。)
 
機能名称
機能概要
マルチプロセッササポート 1〜2つまでのCPUをサポートし、その上の Windows .NET Serverではさらに多くのCPUに対応。(Home Edition をマルチプロセッサPCで利用すると、シングルプロセッサでしか動作しないので注意。)
リモートデスクトップ ネットワーク経由でデスクトップ画面にアクセスするためのサーバー機能。(Home Editionにはクライアント・ソフトウェアのみ提供のため、相手をログインさせることはできない。)
オフラインファイル
ネットワークで共有されているフォルダやファイルを、オフライン時にも利用できるなように複製を作り、同期も取れるようにする。(ノートPCで利用する際に便利な機能。)
暗号化ファイルシステム(EFS) NTFSファイルシステムのファイルごとの暗号化機能。暗号化されたファイルは、暗号化した本人以外からは内容を見ることはできない。
ファイルレベルのアクセス制御
共有しているフォルダ内をファイル単位でアクセス制御する機能。(Home Edition では、フォルダ単位のアクセス制御のみ。)
ドメインコントロールへのアクセス
ドメイン管理のネットワークにWindowsXP Professional システムを参加させる機能。 Windows Serverドメインに参加させて、広範で強力な管理/セキュリティツールを利用可能。
グループポリシー
多数のPCグループやユーザーグループを一括管理を支援する機能。(ローカルポリシー制御は可能だが、グループポリシーの設定はできない。)
ローミングプロファイル 多数のPCで同じユーザープロファイルを利用できる機能。(ユーザープロファイルをネットワークで管理することはできない。)
インテリミラー PCの交換(移行)の際、同一環境のPCを作成するための機能。(PCの交換を頻繁に行うシステム管理者向け。)
リモートインストールサービス(RIS)
Windowsを同じ設定で、ネットワーク経由で、多数インストールしたり、アプリケーションをネットワーク経由でインストールするための機能。
マルチリンガルユーザーインタフェース(MUI)
複数の言語を扱う機能。ダイアログボックス、メニュー、辞書、ヘルプファイルなどの言語も変更できる。
自動システム回復 システム起動時に起動して、システムの異常を自動的に復旧させる機能。(上級者向け。)
ダイナミックディスク HDD上に切ったパーティションの内容を変えずに、サイズを変更する機能。パーティションは連続した領域である必要はなく、別のHDDでも構わない。(システムがインストールされたパーティションは変更できない。)
C2レベルのセキュリティ 米国防省が定めるC2レベルのセキュリティ基準に対応。

○新ユーザーインタフェース(UI)

Windows XP から「Visual Style」(スキンとも言う)が採用された。新しいユーザーインターフェイス(コードネーム:Luna)では、アイコンや操作ボタンをやや大きくしたり、アニメーション効果を多用して動作をわかりやすくするなど、ビギナー向けに使い勝手を改善している。さらに、システム設定などの操作については、コントロールパネルからこれまでより直観的に行うことができる。コントロールパネルを、これまでのようにアイコン表示(クラシック表示)に切り替えることもできる。つまり、「Luna」が気に入らないユーザーは、現行の Windows インタフェースを使い続けることもできるのである。

Luna では、既存の Windows 2000 のコア(中核)部分に、操作用の「スキン」(皮)をかぶせることで、ユーザーインタフェースの容易な変更を可能にしている。「スキン」については、「Windows Media Player」の最新バージョンでも10数種類提供されているので、どのような機能か理解いただけるだろう。この「見てくれ」の変更の柔軟性が新しいユーザーインタフェースの特徴なのである。そして、Windows XP では、デスクトップテーマを切り替えることで、Luna 以外のユーザーインターフェイスを選択できるようにデザインされている。たとえば、テーマの中の「Windows クラシック」を選択すると 従来の Windows(Windows 2000) に酷似したユーザーインターフェイスに切り替えることができる。なお、マイクロソフト社は、ユーザーインタフェースの大幅なカスタマイズは推奨していないが、インターネット上には、すでにさまざまなユーティリティがアップされている。

デスクトップ上のアイコンをクリックする操作に慣れているユーザー(特に、Windows 98/Me ユーザー)にはいささか迷惑なインタフェースかもしれないが、Windows のユーザーインタフェースは、まだまだ進化の途中にある。使い慣れれば、それなりのメリットが理解できるようになるだろう。

○安定性と堅牢性

Windows 2000 ユーザーは体験済みだろうが、「フリーズしない/停止しない」のが最大の特徴であり、下記の理由から Windows 98/Me ユーザーは、Windows XP ベースのPCに移行すべきであろう。

  1. 「正常起動」時の復元が容易

    Windows XPの起動モードは、後述するが、従来どおりのセーフモードだけではなく、各種オプションを同時に実行するいくつかのモードが提供されている。たとえば、新しいドライバをインストール後、XPが起動しなくなっても、メニューから「前回正常起動時の構成」を選んで起動すれば、前回正常起動した時の設定を呼び出して、正常に起動させることができる。Windows Me/98 のように、「システムの復元」や「Scanreg /restore」を実行しなくても、安全に、簡単に正常起動させることができる。

  2. システムリソース管理の改善

    Windows Me や Windows 98 が不安定になりやすい原因は、システムリソースとメモリ保護の脆弱性によるところが大きい。つまり、プログラムが実行され、アイコンや画像の書き換え処理が行われるたびに、Windows の中核を構成するコンポーネントが使用する作業用メモリ(システムリソース)が減少し、結果的にメモリ不足でシステムが正常に動作しなくなったり、停止するのである。さらに、アンチウイルスなどのユーティリティが常駐し、タスクトレイにミニアイコンがたくさん表示されるようになると、システムリソースが不足気味になる。古い時代の16ビットモジュールを引きずっている Windows 98/Me では、いくら物理メモリを増やしてもこの問題は解決されない。Windows XP/2000 では、システムの中核部分が使用するメモリ領域のサイズを設定可能であり、初期値でも十分な容量(3MB)が確保されているので、クライアントPCや一般的な使い方をする個人ユーザーのPCなら、リソース不足によるトラブルは発生しないはずである。(ただし、リソースを開放しない不具合のあるアプリケーションを繰り返し実行したり、メモリを侵食するウイルスの攻撃を受けた場合には、リソース不足によるトラブルも発生する可能性はある。)

  3. メモリ保護の強化

    古い Windows では、互換性のためにダイナミックリンクライブラリ(「DLL」ファイル)はシステム共有メモリの中で動作しており、DLLに不具合があると他のアプリケーションやシステムの作業領域を破壊し、動作が不安定になる可能性があった。Windows XP では、メモリの保護も改善され、アプリケーションごとに独立したメモリ領域が割り当てられるため、悪さするアプリケーションのためにシステム全体が不安定になることはないはずである。

○インストール

インストールは、プロダクトキーなどの入力以外は自動化されており容易である。新規インストールでは、Windows XP の CD-ROM をドライブに入れ、電源を入れれば、ほとんどの作業は自動で行ってくれる。特に、ドメインに参加しない構成でインストールする際は、管理者アカウント(Administrator)を意識することなくインストールが可能であり、またパスワード設定を省略して複数のユーザーをシステムに登録することができる。

アップグレードの場合、作業は容易であるが、アップグレード・パッケージが適用されるOSが限定されている。(Windows 95 は対象外。)また、Windows XP に対応していないハードウェア/ソフトウェアの事前チェックも必要である。インストール CD-ROM には、対応していないハードウェア/ソフトウェアをチェックしリポートするためのプログラム(アップグレードアドバイザ)が含まれている。これをインストールメニューからを実行することで、問題を起こす可能性のあるハードウェア/ソフトウェアを事前に特定できる。対応していない機器があるのにインストールを強行すると壊れる場合もあるので注意を要する。既存の周辺機器やアプリケーションの互換性については、マイクロソフト社の「Windows XP 互換性情報」 で確認できる。ここに記載されていない製品については各々のメーカーの互換性情報を検索してください。

○アプリケーションの互換性

「Windows XP」は、それ以前の Windows で稼動するプログラムをそのまま稼動させる「Windows Me/98モード互換モード」が提供されているので、とりあえず稼動するかもしれない。しかし、XP本来の能力と安定性を享受するためには、XPに正式対応している(下記のロゴマークが付いている)製品を使用しなければならない。それ以外の製品を使用すると、インストール時に警告が表示されたり、動作しなくなる可能性もある。デバイスドライバに関しても、マイクロソフト社のテストを合格したWDM(Windows Driver Model)バージョンを使用すべきである。なお、ゲームソフトには、稼動しないものが多いので注意しよう。


○プロダクトアクティベーション(有効化)

(この項の内容は、Q&A集をベースにしているため、正式のプロダクトマテリアルを参照して確認してください。)

原則として、OEMライセンスであれアップグレードライセンスであれ、1ライセンスは1台のパソコンだけにインストールできる。1度インストールしたライセンスを別のパソコンにインストールしてはならないということである。(5台以上のPCを所有するユーザーは「ボリュームライセンスプログラム」を利用できる。)さらに、Windows プロダクトアクティベーション機能を使用して、30日以内にアクティベーションを行う必要がある。30日以内にアクティベーションしなかった場合、PCは起動できるが Windows は起動しない。その場合は、マイクロソフト社のセンターに電話して、Windows XP をアクティベーションしてください。30日以内ならWebサイトでも電話でもアクティベーションできる。(アクティベーションの猶予期間は、PCに内蔵された時計でカウントされるそうである。)

プロダクトアクティベーション、はマイクロソフトが考案したソフトウェアの不正コピー防止技術であり、製品が正規に入手されたものでありPCにインストールして利用する権利を持っていることを証明するために、その製品をアクティベーション(有効化)するための仕組みである。(Office XP から採用されたライセンス認証方式。)具体的な手続きは次のように行う。

  1. 入手した製品のプロダクトID(製品ID)とそれをインストールするPCのハードウェア構成情報をマイクロソフト社のセンターに通知する。
    (インターネット経由または電話を使用する。)
  2. マイクロソフト社がユーザーにインストールIDを通知する。
  3. インストールIDをインストールするPCに組み込む。

これで、製品は有効化され、正常に使えるようになる。

この機能は、プリインストールPCの場合は、BIOSのみをチェックするため、メインボード以外の機器構成を変更してもアクティベーションをし直す必要はない。小売パッケージからアップグレードしたPCの場合、ハードの変更については、「Technical Market Bulletin」を参照してください。(再アクティベーションが必要なハード変更が確認できる。)簡単にまとめると、PCがドッキング可能でなく、またネットワークアダプタが変更されていない場合、10種類のコンポーネント(上記のTechnical Market Bulletinを参照)のうち6種類以上を変更すると、再アクティベーションが必要になるそうである。ネットワークアダプタが変更された場合、あるいはネットワークアダプタが存在しない場合、10種類のコンポーネントのうち4種類以上を変更すると再アクティベーションが必要になるそうである。

頻繁にコンポーネントを変更するユーザーのために、時間ベースのアクティベーションも提供されている。時間ベースのアクティベーションでは、現在のPCの構成が120日ごとに「ゼロにリセット」される。120日目から、ユーザーはハードコンポーネントを変更できる。それからさらに120日経過すると、PCは再度「ゼロにリセット」され、ハードコンポーネントを変更できるようになる。

○Windows 拡張オプションメニュー

Windows XP では、次のような起動オプションを選択できる。呼び出し方は、パソコンを起動させBIOSや各デバイスのチェックが実行された直後、「F8」キーを押す。デュアルブート環境の場合は、OS選択メニューで「F8」キーを押せばよい。ご存知の「セーフモード」は、これまでの Windows と同様、各種ドライバの読み込みを最低限に抑え、最小構成で起動するトラブル対応モードである。Windows 98/Me/2000の場合、画面解像度が640×480ドット、色数が16色に制限されていたが、Windows XP では、セーフモードでも SVGA の解像度(800x600ドット)が適用され見やすくなった。

オプションメニュー
概要
1
セーフモード 各種ドライバを読み込みを最低限に抑えて、Windows XP を起動。(読み込まれるのはマウス、キーボード、モニター、大容量ディスク。)
2
セーフモードとネットワーク セーフモード+ネットワークコンポーネントを読み込んで起動。(ネットワーク接続ができるようになる。)
3
セーフモードとコマンドプロンプト 起動デバイスを制限してシステム起動を試みるセーフモード+コマンドプロンプトを起動。(パワーユーザー、管理者向け。)
4
ブートのログ作成を有効にする Windows XP 起動時に読み込みの対象になったすべてのドライバとサービスの読み込み結果をログして起動。(「%systemroot%\ntbtlog.txt」ファイルに記録する。)
5
VGAモードを有効にする ビデオドライバに問題が起きた場合や画面解像度の設定を間違えた場合、最低限のビデオ機能を使用して起動。(640x480ドット)
6
前回正常起動時の構成 前回正常起動した時の情報に基づいてXPを起動。(レジストリファイルの内容を最後にまともに起動した状態にもどす。起動時の問題解決用。)
7
ディレクトリサービス復元モード ドメインコントローラが使用する「SYSVOL」フォルダとアクティブディレクトリを復元する。(管理者向け。)
8
デバッグモード システム起動の情報をシリアルケーブル経由で別のパソコンに送信しながら Windows XP を起動。(問題判別用。)
9
Windowsを通常起動する 特定のオプションを選ばずに、Windows XP を起動。
10
再起動する パソコンをリセットする。
11
OS選択メニューに戻る 先のOS選択メニューに戻る。
●Windows XP 補足

○起動パフォーマンス

Windows XP の「売り」の一つに、起動パフォーマンスの改善がある。
Windows XP では、起動直後にHDDから読み出されるデータの全てを、「ブートローダー」(NTLDR)がメタデータとしてキャッシュするため、起動時のHDDへのアクセスが軽減される。さらに、デバイスの初期化とデバイス入出力アクセスを効率化し、起動時に必要のないプロセスを削除し、他のサービスの起動を遅らせる、などの工夫と技術面での改善により、Windows XP の起動を最適化している。

これらの技術は、「OnNow」や「ACPI」(Advanced Configuration and Power Interface)などの技術をベースにして実現されており、これらは、スタンバイ状態や休止状態からの復帰時間の短縮にも寄与している。

なお、「Bootvis.exe」をダウンロードし実行すると、Windows XPの起動とレジューム時のプロセスをトレースし、CPU使用率、Disk I/O、Driver Delays、Resume Activity などの情報を時間連動式グラフで表示することができる。

○DOS窓

Windows XP でもDOS窓は提供されている。
DOS窓は、スタートメニューから「すべてのプログラム」>「アクセサリ」>「コマンドプロンプト」をクリックすると起動する。DOSの機能はOSがバージョンアップするにつれて制限される傾向にあるようだが、「XP」ではコマンドプロンプトでの入力インタフェースが次のように改善されている。

  1. ファイル名やフォルダ名の入力補助

    入力途中の単語で始まるフォルダ名やファイル名を検索して補完してくれる。
    ========================================
    c:\>cd my  ....ここで「Tab」キーを押す
    c:\>cd "My Documents" ....と補完される
    ========================================
    再度「Tab」キーを押すと他の候補を表示してくれる。ただし、検索対象となるのは現在のフォルダに含まれるファイル名やフォルダ名に限定される。

  2. コマンド履歴

    上下の矢印キー「↑」「↓」を押すと、これまで入力したコマンドの履歴が表示され、履歴から選べばそのコマンドが実行される。同じコマンドを、わざわざタイプする必要がなく、DOSのユーザーは入力の生産性が向上するだろう。

●Windows XP まとめ

○Windows 98/Me ユーザーは移行を検討せよ

異常終了やフリーズで困っているなら、速やかに Windows XP に移行すべきである。Windows 98/Me ベースのパソコンがフリーズしやすいのは Windows の構造上の問題であり、新たな投資や対策を検討するよりは、Windows XP をプリインストールされたパソコンを購入するか、新たに組み立てる方がメリットは大きいはずである。

○古いパソコンのアップグレードは極力やらない

Windows 98 から Windows Me へのアップグレードに比較すると、Windows 98/Me から Windows XP へのアップグレードは、ややリスクを伴う。既存のPCには、Windows XP では、稼動しないデバイスやアプリケーションが、かなり高い確率で組み込まれており、これらのコンポーネントを外すなり、ドライバーをアップデートしないと、破損する危険性もある。必ず、アップグレードアドバイザーを実行して、対応していないハード/ソフトを確認し、それぞれのメーカーの対応策を実施する必要がある。それらの内容が理解できないなら、Windows XP をプリインストールされたパソコンを新規に購入することをおすすめする。

互換モードは完全とはいえない

古いアプリケーションが、何らかの競合により稼動しない場合は、互換モードを使うと、ほとんどの場合は稼動するようである。ただし、通信ポートを使用するプログラムや同時に複数起動するプログラムなどは要注意であり、十分なテストを行う必要がある。

○操作の違いは慣れるしかない

「Luna」は、「スキン」のひとつにすぎない。新しいユーザーインタフェースに戸惑いやストレスを感じることはない。操作性の自由度が向上した、選択肢が増えた、と前向きに考え、さまざまなスキンを使用してみよう。Windows XP の設計思想やメリットが理解でき、より効率的な使い方が習得できる。

○プロダクトアクティベーションへの不満

Windows XP は、著作権保護の名目で、このライセンス認証方式を採用しているが、これは、実験やレビュー、テストのためにメインボード、CPU、各種デバイスを頻繁に変更する、パワーユーザーやそれを仕事とするユーザーに、かなりのプレッシャーを与えている。マイクロソフト社には、この点を改善して欲しい。さらに、電話はすぐにつながるよう願いたい。
 
 
●Windows XP の対抗OS

○UNIX

1969年に、米国AT&T社のベル研究所によって開発および研究が開始されたOS。
当初は、米DEC社(Digital Equipment Corp.)のミニコンであるPDP-7(後にPDP-11)上にアセンブラ言語で構築された。1970年代に入ってから、OS自体が、C言語で書き直され、また、ベルll研究所がUNIXを安価にライセンスし始めたため、大学や研究機関を中心に広く普及していった。1983年には「System V」がリリースされ、これが今日の商業ベースで実装されているほとんどのUNIXシステムのベースとなっている。

また、カリフォルニア大学バークレイ校では、オリジナルUNIXから派生した「BSD版」が開発され、ここから「csh」や「vi」などの、今日ポピュラーとなっているコマンドが生まれた。一方、「System V」系UNIXでは、1990年に、開発がUSL(UNIX System Laboratories)に移管され、USLは1993年に米ノーベル社(Novell, Inc.)に買収された。後に、ノーベル社が譲渡したため、現在「UNIX」という商標は、米国の団体「The Open Group」が、ソースコードライセンスは米SCOが、各々所有している。

当初、ソースコードが無償または無償に近い形で配布されたUNIXであるが、1980年代にAT&Tが分割されたため、コンピュータ産業への進出が可能になったことから、UNIXのライセンスビジネスが始まり、フリーOSではなくなる。そこで、BSDからUNIXコードを取り除いてフリーのUNIX系OSを作り出す動きが活発になり、これが「FreeBSD」や「NetBSD」などへと発展していく。また、UNIX互換のOSを作り出すプロジェクト「GNU(Gnu's Not UNIX)」が生まれた。後述する「Linux」はBSDやGNUのアプローチとは異なり、UNIXシステムの教育用途として開発された「MINIX」をベースに開発されている。

UNIXは、複数の処理を同時に行える「マルチタスク」、複数のユーザーで同時に利用できる「マルチユーザー」などを実現しており、安定性に優れている。(Windows系のOSより管理しやすいとの評価もある。) また、TCP/IPを始めとする現在のインターネット標準とされる各種の技術を実装し、インターネットの普及に貢献してきた。現在ではサン・マイクロシステムズの「Solaris」やヒューレット・パッカードの「HP-UX」、IBMの「AIX」といった商用UNIXが多く提供されており、インターネット関連サーバーや基幹システムなど、様々な用途で使用されている。

○Linux

1991年、ヘルシンキ大学のLinus B. Torvalds氏により、i386以上を搭載したPC互換機をターゲットプラットフォームとして開発されたUNIX互換OS。
「Linux=オペ レーティングシステム」と認識されることが多いが、厳密にはOSの核となる「カーネル」のみを「Linuxと」呼ぶ。最近では、Linuxカーネルを利用したOS全体を「Linux」と呼ぶ傾向が高い。DEC Alpha など、Intel以外のプラットフォームへの移植も行なわれている。

カーネルの構造は「System V」互換であり、POSIX(IEEE 1003.1)標準によって規定されたアプリケーションのためのUNIXシステムのインターフェイス)の機能も実装している。AT&Tのライセンスなどからは完全にフリーとなっており、GNU の GPL(GNU一般公的使用許諾) に従って配布されている。ただし、著作権は放棄されたわけではなく、リーナス氏は、米国などで Linux の商標を保有している。

Linuxはソースコードが公開されており、インターネット上の多くのボランティアの努力により機能強化とバージョンアップが繰り返されてきた。最近のカーネルのバージョンアップでは、64GBまでのメモリーをサポートし、最大2GBのファイルを扱えるようになるなど、大規模システムでの使用を可能とする拡張が行われた。

なお、Linux として開発されているのはカーネルなどの基本的な部分だけであり、「シェル」や各種コマンドなどのユーザー環境は、インターネットで公開されているフリーソフトウェアが使われている。これらの多くは GNU から配布されており、Linuxカーネルと各種コマンド、エディタ、コンパイラ、ウィンドウシステム(Windows XP の「スキン」に相当)などをまとめたパッケージが、複数のディストリビュータからリリースされている。(「Redhat」、「TurboLinux」、「Slackware」、「Debian」、「Vine」など。)

Linux や FreeBSD などフリーの UNIX 互換プラットフォームは、商用 UNIX と同等の性能を有しながら安価に導入できる点が評価され、様々な用途に使用されはじめている。今後、アプリケーションや周辺機器の対応が進むにつれて、急激に普及していく可能性がある。