印刷とプリンタの基礎

Windows環境での印刷の仕組みやインクジェットプリンタの基礎知識について解説します。
(このページの内容は、予告なしに変更されます。)
問い合わせはこちらまで

パソコンを購入する際にプリンタも同時購入する場合が多い。しかし、パソコンは時間をかけて比較検討するのに、プリンタについては意外にあっさり決めてしまうユーザーが多いようである。プリンタは、パソコンの周辺機器の中で最も低速な、パフォーマンスの向上が期待できない機器である。近年、プリンタの印刷画質の向上はめざましいが、CPUやメモリーの技術進歩に比較すると雲泥の差がある。最もポピュラーなインクジェットプリンタを中心に、Windows環境での印刷について解説する。

●印刷の仕組み

○プリンタのインタフェース

Windows環境でのプリンタ(ネットワークプリンタを除く)は、パラレルポートまたはUSBポートに接続される。もともと、パラレルインタフェースは、プリンタを接続するために開発されたものであり、ほとんどのパソコンでは、「LPT1」という名称で知られている。ポートに接続し使用するCD-ROMなどからプリンタドライバをインストールしてしまえば、「マイコンピュータ」の「プリンタ」に登録され、そのままプリントできる状態になる。(初期値のIRQは7である。) この仕組みを利用してプリント機能以外のサービスを提供するアプリケーション(ファックス送信、ポストスクリプトファイルの作成など)も多い。
パラレルポートの転送モードは「SPP、EPP、ECP」があり、BIOS側で設定する。SPPモードに設定している場合は、高速の「ECP」に変更しておいた方がよい。EPPは最も高速であるが接続機器やドライバによっては制限を伴う場合もある。(「システム」の「デバイスマネージャ」タブの「ポート」の「LPT1」が「ECPxxx」という類の表示であれば問題ない。)
Windowsでは、Windows標準のプリンタドライバの代わりに、他のドライバを組み込むことができる。通常、ドライバのインストールの際に、そのプリンタ専用のドライバが組み込まれるため、印刷ジョブの管理は、Windowsの標準スプールマネージャではなく、専用のプリントマネージャにより行われる。

○印刷の仕組みとドライバの機能

以下は、一般的なプリンタドライバについての記述であり、マイクロソフト社製のWindowsドライバについての記述ではありません。

ワープロなどのアプリケーション・ソフトが印刷要求を出すと、プリンタドライバは扱うデータの形式とプリンタドイライバ側で扱える処理に関する情報をアプリケーションに送る。つまり、印刷可能なラスターデータに変換し処理できるものかどうかのチェックが行われる。

印刷可能と判断されると、ラスターイメージ゙を表現するために必要なGDI(Graphics Device Interface:出力装置に線・円・多角形・テキストなどを描画するためのWindowsの標準機能)コマンドをコード゙化しジャーナルファイル(一般には、C:\Windows\Temp\xxxx.jnl)に収める。このジャーナルファイルの生成が完了した時、印刷用ファイル(xxx.prn)を作成する準備が完了する。アプリケーションはここで開放される。(アプリケーションを終了してもプリントが可能になる。)

次に、ディスプーラ機能がジャーナルファイルを読み出し、印刷用ラスターデータを生成し、最後にパラレルまたはUSBインタフェース経由でプリンタに送り印刷が開始される。印刷が開始されるとディスプーラは、印刷状況を小ウインドウで表示し、「印刷中止」などのユーザー側から要求に対応する。

こうした、ジャーナルファイル生成から印刷完了までの一連の処理が、どの程度効率的に行われるか、ユーザーにストレスを感じさせず速く印刷を完了できるかは、プリンタメーカーのドライバ開発能力に依存する部分も大きい。つまり、印刷時にアプリケーションの動きが遅くなる、リソース不足に陥るなどの問題を改善するためには、ドライバを中心としたパソコン側の処理を行うソフトウェア側の改善が必須であるということである。一般ユーザーが期待するプリントシステムは、バックグラウンドで、アプリケーションへの影響を極小化しながら、高速・高品質に印刷を行ってくれるものである。プリンタメーカーには、自社に都合の良い比較表を作ることよりも、こうした総合的な観点からの製品開発を期待したい。

○ファイル容量サンプル

参考までに、ワープロ(Wo○d 2000)とフォトレタッチ(Photo○hop)で作成した印刷用サンプルファイルの容量は次のとおりである。(「印刷用ファイル」は、ドライバでファイルに出力したものを使用。) ユーザーはアプリケーションファイルの存在しか意識しないが、印刷の際にはこのような大容量のファイルが生成され、メモリー上に展開されている。少ないメモリーでの大容量画像の印刷は特に注意しなければならない。 (HDDの残容量にも注意しよう。)

 

サンプルファイル

アプリケーションファイル

ジャーナルファイル
(jnl)

印刷用ファイル
(prn)

ワープロ文書(doc) 34KB   108KB   427KB  
画像(jpg) 69KB   379KB   1685KB  

プリンタの基礎

○最近のプリンタの特徴

一般ユーザーが目にするプリンタには、インクジェット型、熱転写型、ドットプリント型、ページプリント型(レーザープリンタ)がある。現在、最も普及しているのは、4色以上のインクを、左右に動くプリントヘッド上の多数のノズル(噴射孔)から吹き付けていくインクジェットプリンタでしょう。メーカーによりこの技術の呼び名は異なるが、どのメーカーも美しい写真画質の高品質印刷をキャッチコピーにしている。種類も豊富で、接続インタフェースもUSBとパラレルから選べるモデルが増えている。A3以上の印刷サイズをサポートする製品も数万円で購入できる。

最近のインクジェットプリンタのメリットは、1.画質が美しいこと、2.プリンタドライバで微調整が容易に行えること、3.安価なこと、問題点は、1.画像の印刷速度、2.ランニングコスト(インク代が割高のモデルが多いこと)、3.印刷時の騒音、でしょう。また、一部の機種を除き、金・銀の色を正しく印刷できない。カラー対応のレーザープリンタは、以前は、実売価格で20万円を超えたが最近は10数万円で購入できるようになってきた。DTP(デスクトップパブリッシング)などの専門業務以外のオフィス業務でも導入する企業が増えている。モノクロ・レーザープリンタは、安価で画像の印刷も圧倒的に速く、目的別またはサブ・プリンタとして使い分けると効率的である。

また、最近のプリンタの多くは、双方向通信に対応しており、パソコン側の専用のユーテリティで、ペーパエンド、インクエンド、消耗品の残量などが確認できるようになっている。数年前に製造されたプリンタを使っている方は、購入後にドライバやユーティリティがアップグレードされたり追加されている可能性があるのでメーカーのHPで確認してみてください。

補足:ポストスクリプト(PostScript)について
ポストスクリプトは、アドビシステム社が開発した印刷業務用のページ記述言語であり、そのファイルはペジェ曲線という特殊な数式データの集合である。ファイルは、実際の印刷イメージに即したデータファイルに変換され、ポストスクリプト・プリンタによって、そのプリンタの性能に対応したラスターイメージに展開され印刷される。ポストスクリプトは印刷業界では標準の形式であり、最近は安価なプリンタでもソフトウェアを組み合わせて対応する製品が増えている。

プリンタの仕様

パソコンショップのプリンタ・コーナーには、本体と価格情報に加えて、印刷見本や性能比較、売れ筋ランキングなどの情報が氾濫している。個人ユーザーがプリンタを評価するポイントは、価格、用紙サイズ、ランニングコスト、印刷品質および印刷速度であろう。価格や用紙サイズは製品カタログや展示を見ればわかるが、品質と速度は、それぞれのプリンタの横に置いてある印刷見本や比較表でチェックすることになる。比較表は、それぞれのメーカーが都合のよい条件で作成したものが多く、各社とも1番のごとく表示してある。ランニングコストも実際の利用では試し打ちや途中で中止するなど、さまざまな利用形態が考えられ、これらは比較表1枚で単純に優劣をつけられるものではない。たとえば、途中で印刷を中止した際、いかに速く停止するか(インクを節約できるか)といった観点からのユーザー寄りの情報は、一般には提供されないだろう。

まず、プリンタの能力を測る上で基本となる画像について記述する。(画像処理についてはこちらを参照。)

プリントした画像の単位長に表示されるピクセル数を画像解像度と呼び、通常、1 インチあたりのピクセル数(ppi:pixel per inch)で表す。画像解像度が 72ppi の場合は、1 インチ四方に 5184(横:72 × 縦 72 = 5184)ピクセルが含まれる。同じ 1 インチ四方の画像でも解像度を 300ppi にすると、合計 90,000 ピクセルが含まれることになり、画像の精度が上がる。
画像の精度を上げても、プリンタがその印刷品質を再現できなければ意味はない。印刷品質を表すのは、出力解像度(dpi)とインク粒子(pl)です。上述のとおり、72ppi の画像を印刷するには、特定の用紙領域に、5184個の点を打たねばならない。通常、1インチ(2.54cm)の長さに打てるインキドット数をdpi(dot per inch)で表し、これがプリンタ解像度になる。最近の3万円クラスのインクジェットプリンタ製品の多くは、1440dpi をクリアしており、インクドロップ(粒子)も解像度に応じて4pl(pico liter)まで最小化できる。これらを最適化するコントロール技術(MSDT:Multi Size Dot Technologyと呼ばれる)にも対応している。
なお、「XXdpi相当」という表示は、重ね打ちの技術により、見かけ上の解像度を上げている場合に使用される。

プリンタの印刷速度は、1分間に出力できるページ数(ppm:pages per minutes)で表す。「カラー:2ppm、モノクロ:5ppm」のように表現される。印刷速度は画像処理やプリンタドライバの設定条件によってさまざまに変化する。縦の罫線が1本入っただけで、何倍も時間がかった、という経験をされた方も多いでしょう。接続インタフェース(USB、シリアル)によっても異なってくる。比較表の数字はあくまで参考程度に考えるべきである。(製品カタログの仕様のとおりにならない場合が多い。)

また、ユーザーが見落としがちな項目にマージンがある。マージンは、プリンタが印刷できない(紙送りのため印刷できない)余白を意味する。最大用紙がA4のプリンタが印刷できる領域はA4より小さく、上下左右に余白ができる。マージンの大きさは機種により異なる。つまり、A3対応と明記された機種の印刷領域は、A3より狭く、A3サイズにめいっぱい印刷するには「A3ノビ」または「A2」対応の機種を選択しなければならない。DTPユーザーは特に注意してください。最近は、「ふちなし」印刷が可能なプリンタが増えてきた。

○プリンタドライバでの調整

用紙の種類と印刷品質(印刷モード)を正しく設定すれば、とりあえずはきれいに印刷できる。この仕上がり結果を見て、プリンタドライバによる色補正やオプション機能を追加変更してください。特に、画像やグラフが挿入されているページについては、モニター上で見た印象と印刷出力の印象は色合いやコントラストにかなりの差異がでるはずです。このような場合には、必要に応じて、「ハーフトーン」、「色補正」などの調整とオプションの指定により修整することができる。(具体的な修整手順はプリンタの添付マニュアルを参照してください。)
なお、プリンタドライバでの設定値はあくまで、一時的な補正であり、設定値を記録しておかないと後日同じ条件で再出力することができない。プリンタドライバでの手動設定はあまり多用せず、フォトレタッチソフトで元画像を修整し最適化しておくのが賢明である。

1.ハーフトーン

画像データをドットに分解する能力(細かさ)を指定する機能で、高く設定すると画像の中間調の表現能力が向上する。通常は、文書タイプ(写真、テキストなど)に応じて最適な設定となる。

2.色補正

明度、コントラスト、彩度、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の微調整を行う機能で、どうしても思うような色で印刷できない場合に使用する。赤系の色やコントラストなどRGBとはかなり異なる場合が多い。

3.マイクロウィーブ

マイクロウィーブはテキストの出力品質には影響を与えない。グラフイックイメージを高品質に印刷する機能で、出力に水平の縞やゆれが見られる場合に指定すると効果的である。機種によっては、白黒印刷の出力は比較的遅くなる傾向があり、印刷時間の短縮化のためには最終出力のみ適用すると効果的である。

4.双方向印刷

プリントヘッドを左右両方向に動かしながら印刷する機能のことをいう。双方向印刷を指定しない場合は、一方向のみの印刷になりやや遅くなる傾向があるが、グラフイックイメージの印刷品質はやや向上する。双方向印刷を指定し、ドットがずれるなどの品質低下が見られる場合は、専用のユーティリティを使用してヘッドを調整する必要があるかもしれない。ヘッドがずれている可能性もある。

一部のドライバソフトの設定画面では、「印刷品質」に解像度ではなく「スー○ーファイン」などのモード表現が使用され、「XXXdpi」という具体的な数値が表示されない場合がある。印刷品質と対応する出力解像度、印刷品質と対応する用紙の関係をしっかり把握しておこう。特にメーカー純正以外の用紙には、「XX社のXXシリーズでXXモードを推奨」といった内容を示す引当表や文言が付いているので購入の際に確認しよう。

○インク

インクジェットプリンタは、各々の専用のインクカートリッジを使用する。カラーは、基本的には、シアン(青)、マゼンダ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)の4色を重ね打ちして表現する。最近は、4色に「ライトシアン」「ライトマゼンダ」などを加えた多色インクを使用する機種もある。(参考までに、モニター画面上ではRGBの3原色で構成される。モニターの表示色と印刷色が違ってくるのは、こうした色の配分方法の違いに起因する部分が大きい。) 
最近のインクジェットプリンタ業界では、インクドロップ(粒子)をどれだけ小さくできるか(どれだけ細かな表現が可能か)という競争が激しく、インクもそれに見合った精度の高いものが要求される。粒子の細かさだけではなく、濃度を薄くして重ね打ちすることによる高度な階調表現に適応できるなど、かなり高品質でなければならない。ランニングコストを減らすためには、色別にインクの差し替えができ、解像度によってインクドロップを変えるなどの節約効果が期待できるタイプのものが望ましい。(4色のインクが同時に空になることなどありえない。)
印刷のトラブル

E社の最新のプリンタで発生したトラブルに関して、問い合せた結果を基に整理してみた。シューティングの手順として役立てていただきたい。

○印刷のトラブルを回避する前提条件

1.まず接続を確認

まず、ケーブルの接続状況を確認しよう。特に、パラレル接続の場合、ネジをしっかり締めてください。浮いた状態のピンがあると振動等で、接触不良が生じエラーが発生しやすくなる。また、買い替えの場合、ケーブルはそのまま古いものを使用することが多いが、念のため添付されているものを使用したほうが良い。(最近は購入店が無料で添付してくれる。)

2.最新のドライバを使用

必ず、メーカーのWebサイトで最新のドライバやユーティリティをダウンロードして、インストールする。添付のCD-ROMのドライバは、購入時点では既に古くなっていると疑い、最初からWebサイトの最新版をダウンロードするのが好ましい。

3.クリーニング

最近のインクジェットタイプのプリンタは、大変デリケートである。ノズルやヘッドのクリーニングはまめに行なってください。たとえば、「インク点検」ランプが点灯していても、クリーニングによって消える場合がある。長期間使用しなかった場合などは、必ず数回は行なってみてください。

4.巨大なデータを送らない

巨大なサイズの画像を縮小して挿入したワープロ文書など、ファイルサイズが大きな文書は、無理のないサイズにするか、ページを分けて印刷する。こうした配慮で、未然にトラブルを回避することができる。

○印刷が途中でストップしたら

1.スプールを使わない

「プリンタに直接データを送る。」にチェックして印刷してみる。この間、他のアプリケーションの動きはぎこちなくなるかも知れないが、印刷処理は安定する。

2.BIOSの設定を低速に

パラレル接続なら、BIOSのパラレルの転送スピードを、「ECP」、「EPP」から「ノーマル」に落としてみる。転送速度は当然遅くなるが、処理は安定する可能性は高くなる。

3.一時ファイルを削除

印刷前に「c:\Windows\temp」の中の「xxxx.tmp」を全部削除する。以前の印刷に使用した一時ファイルが残っていて、次回の印刷に影響する場合があるらしい。

4.双方向通信を使わない

最近のプリントドライバは、「双方向通信機能を使う」が標準値になっている。これを「双方向通信機能を使わない」設定に変更して印刷してみる。これで、スムーズに印刷される場合が多い。

警察庁の調べでは、1999年には国内で、約3300枚の偽札が発見されているという。偽札の増加は、インクジェットプリンタの高画質化が主な原因と見られている。メーカーの技術情報の提供により、印刷物から機種を特定することはある程度可能らしいが、ドライバに偽造防止機能を組み込むのはコスト面から難しいという。(複写機の場合は、主にハードウエアで偽造防止機能を実現している。) インターネットの世界でも同様であるが、技術向上の影には、必ずその開発者や利用者のモラルが問われる側面があるということを自覚しておきたい。