パソコン教育の基本

パソコンの教え方のガイダンスです。パソコンインストラクタの方からのご意見をお待ちしています。
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●パソコン教育の実態
 
ちょっと大きな駅のそばでは必ず「パソコン教室」の看板が目につきます。 そこでは、パソコンルームに次から次へ生徒を詰め込んで、女性インストラクターの指導に合わせて進められるトコロテン型のコースが一般的です。メニューも、Windowsの基礎、ワードの使用法、エクセルの使用法、インターネットの...など、ニーズの高そうなポピュラーなアプリケーション中心に構成されるのが普通です。
ビジネスマンとしてはそれなりの仕事をこなしてきた中高年の方にとって、突然このような体験は、様々な観点からショックでしょう。なにせ、自分の培ってきた知識やノウハウはまったく役に立たないのですから。理解力、記憶力、反射神経も衰えてきた頃、なぜ今になって!と感じることになるでしょう。それでも、リストラされるのがいやで必死に習得しようとする人、頭が真っ白になり結局あきらめてしまう人...パソコン指導の現場ではその人の性格や人生のトラウマさえも見えることがあります。
彼らにはまず、パソコンの使い方を覚える前にもっと重要なことを理解してもらわなければなりません。自分の目標達成のために必要な情報は何か、その情報はどうやって収集するのか、そこにITがどのような役割を担うのか、従ってインタフェースとしてのパソコンをどう使えばよいのか、それぞれのユーザーごとに自分の能力を最大限に発揮できる使い方を理解することが重要なのです。さらにエグゼクティブ・レベルの方々は、ITの投資効果を理解し最適な投資が行われるよう意思決定する責任があるのです。道具の使い方が全てではありません。(事務員の養成が目的なら別ですが。)

●パソコン教育の課題
 
パソコンを教える者は、生徒一人一人のこれまでの経験、性格、立場を考慮しなければなりません。もちろん、現在の均一化されたパソコンの教え方が全て間違っている訳ではありません。しかし、ITの発展と普及があまりに急速だったため、その教育のための技術やノウハウが追随できていない、そしてメソッド(方法論)がまだ十分に確立されていない、といえるのではないでしょうか。一般論になるかもしれませんが、今のパソコン教育の問題点を上げてみましょう。

○ユーザーの知識や操作技術レベルの格差

年齢、性別、経験など、ユーザーのプロファイルはそれぞれ異なるのに、教え方はあまりに画一的である。同じ意識や目的を持つユーザーグループごとに、もっとターゲットを絞った教え方が要求されている。「落ちこぼれ」や「出遅れ」がリトライできる道も無い。

○一過性のカリキュラム

ITの知識レベルに応じた段階的な教育プログラムにより、定期的・恒常的な知識のアップデートが必要なのに、特定のアプリケーションの短期間の教育クラスで終了させてしまう。ユーザーの総合的なレベル向上のための生涯カリキュラムが不足している。

○アプリケーション偏重

漢字変換など、キーボードからの入力スキルが身についていないのに、いきなりワープロや表計算ソフトを教えるクラスにエントリーさせてしまう。画像を挿入するトレーニングは含まれているが、画像の最適化や容量を無視した場合の危険性については何も教えない。ユーザー向けに、OSやメンテナンスについて深く掘り下げる教育もほとんど見当たらない。(ワープロは使えるが解凍はできない、といった特定のアプリケーションに偏ったユーザーが多くなる。)

○業務経験の浅いインストラクタ

実務に則して教えることが理解度を向上させる。しかし、多くの場合、インストラクタがイベント・コンパニオンのような機能説明に終始している。(それが当然という風潮がある。)説明する方も、同じ説明ばかり繰返すことにイライラ、うんざりしているかもしれない。双方向コミュニケーションによる習得の場を作るべきである。教える側に幅広い業務の知識や経験が必要である。場合によっては、心理学者や精神科医がカウンセリングを行うような、繊細さと洞察力も必要とされる。

つまり、教わるユーザー(生徒)の立場や心理を理解して、ユーザーの立場・レベルに応じた教え方が必要なのです。画一的な一方通行の教え方は、何割かのローレベルユーザーに、パソコンはやはり難しいもの、理解できないのは自分の能力が劣っているから、という意識を植えつけ、結果として自信喪失に至らしめる。これは、トラウマとなって後々まで残る場合が多い。(使いやすくなっているのに昔の単能パソコンのイメージが拭いきれず、なかなか上達しない中高年ユーザーが多い。)さらに、ユーザーが実務で使う際の操作イメージを思い描く時、それを支援するためのコンサルテーションが最も大切なのです。単なる機能理解のレベルで終了してしまうと、確固たる自信を持てぬまま現場に戻り、業務にどの程度適用可能なのか、また模索を繰返すことになる。
 
●ユーザーの立場

ユーザー(生徒)の意識は次のようなものでしょう。

○仕事でパソコンを使わざるをえない立場にあり、習得したい具体的な目標がある。
○スクールに行くことを強いられており、とにかく卒業しなければならない。
○生産性を向上させたい、知的な仕事に費やす時間を増やしたい。
○スキルアップ・キャリアパスの一手段として考えている。
○興味があり、使えるようになりたい。

実にさまざまな立場と意識のユーザーがエントリーしてきます。社会的に認められビジネス上では権威ある存在の熟年層が、技術革新により生まれた新しい道具を使いこなせるようになることと、若年層のスキルアップトレーニングとは明らかに意味合いが異なるように感じます。教える側は、集合型教育での限界を認識し、料金は高くなるだろうが、マンツーマン型教育のやり方を検討すべきだろう。これは、中高年ユーザーの習得率を向上させる手法・技法を開発するということです。さらに、理解度の高い中学生・高校生などには、使うための教育の前に法律やネチケットを教える必要があります。というのは、パソコン・インターネットの世界では、どういうわけか、やってはいけないこと、危険なことを誰も教えてくれないのです。(教える責任がある親世代の多くは、まだこの世界の外にいる。)
●パソコン上達のポイント

○「もっと速く上手に」という強い意識を持ち続ける。

キー操作のスピードアップ、ワープロでのレイアウトなど、常にもっと速く、もっと効率よく、もっと美しく!という向上心を常に持つ。「自分はできる!」という信念の自己暗示をかける。

○疑問があれば答えがわかるまで探究する。

多分できないだろう、と諦めてはいけない。諦めたら進歩が止まる。必ずできる、もっと効率のよい方法がある、と信じて徹底的に追求する。(必ずある。)

○マニュアルを見ないでわかっている人に聞く。

パソコンに苦手意識を持つ中高年ユーザーは、マニュアルは見るのも嫌なはず。嫌なことはしなくてよい。迷わず、教えてくれる人に尋ねなさい。誰もいなかったら、「F1」(ヘルプ)を参照しなさい。

○パソコンで情報を収集する。

インターネットには質問に無料で教えてくれるビギナー向けサイトやお助けサイトがいっぱいある。(FAQ、掲示板、メール、フォーラムなど)これらのサービスを使って必要な情報を入手する癖をつけよう。インターネットの使い方はこれで大方マスターできる!

パソコンのさまざまな機能やアプリケーションが使えるようになると、誰でもその便利さに驚いてしまう。筆者が、ある熟年ユーザーに、エクセルで作成した膨大なデータから3分でアクセスのデータベースを作成するところを見せた時、「こんなに簡単にできちゃうの?」と唖然としておられた。確かに以前はデータベースの構築は大変難しかった。このユーザーの問題は、技術の進歩に伴う情報のアップデートを怠っていたことであるが、上記の一つでも実行していれば遠回りせずに、もっと簡単に答えを見つけられたはずである。知らなかったために費やしてきた時間と機会の損失を考えると残念でならない。これらのポイントを忘れた時から、ユーザーとしての進歩は停止し、それ以上の向上は望めなくなる。この種のユーザーを「万年ビギナー」と呼ぶこともある。
 
●ブラインドタッチの必要性

キータッチを正しく行うことができないユーザーは多い。彼らの多くは、操作の劣等感を感じているかもしれない。筆者も正しいキータッチがいまだにできない。しかし、手書き原稿を高速で入力しなければならないタイプ作業より、考えながら入力する作業が多いこともあり、それをハンディキャップとは感じない。ただ、正しいキータッチができるようになると、自信がつき入力も速くなる。劣等感も無くなり操作に余裕が出てくる。 1日1時間x1ヶ月練習すれば、特殊な障害を持つ者でなければ、誰でも確実に手書き速度で正しく打てるようになることを覚えておいてください。挫折した人は、そこまで継続しなかったのです。
ブラインドタッチができなくても、パソコンを使いこなすことはできる。(パソコンがもたらすプロフィットを享受することはできる。)特に中高年ユーザーは、ブラインドタッチができないからといってあきらめないこと、劣等感を持たないことが大切である。
 
●インターネット時代のパソコン教育
 
パソコン教育のみならず、インターネットやTV会議を利用したユーザー教育が急速に普及しつつある。仕組みを構築してしまえば一度に数倍、数十倍のユーザーへの同時教育が実現できる。(世界規模でも可能である。)しかし、上述したパソコン教育の課題はITの発展だけでは解決することができないのも事実である。例えば、次のような考え方を持ってみてはいかがでしょう。

○生涯教育カリキュラム

バージョンアップや機能のアップデートが発生するキー・アプリケーションについては、連続したアップデート・コースを組む。OSについても同様。技術革新の速さにユーザーが対応していけるよう長期的プランニングをもとにカリキュラムを作成する。

○二極分化

ユーザーのプロファイルに応じて、1:Nのマス教育と1:1あるいはN:1の集中対話型レクチャーを準備する。オンラインメディアを使用した1:Nはより汎用的に効率よく、コストダウンをはかり、集中対話型は、業務を良く知るアプリケーション志向のインストラクタ(コンサルタント)を配置し、コストがアップしてもユーザーごとの満足度100%を狙う。

○「落ちこぼれ」向けオプション

特に、マス教育ではついていけないユーザーのために、一定のレベルまで向上させる準備クラスやを補修クラス設置する。(一度「落ちこぼれ」ても切れることなく、受け入れる体制を作るということである。)

○メディアの有効利用

インターネットでのオンライン教育プログラムがかなり充実してきた。人手をかけずに数多くの生徒を参加させることができる。操作中心のカリキュラムは、今後積極的に移行して電子化のメリットを享受しよう。

○企業・組織へのアプローチ

企業とのタイアップをめざす。新人研修から役員の個別教育まで、包括的なアウトソーシングが可能であることをアピールしてユーザーを固定していく。それぞれの履歴やプロファイルが蓄積され、次の教育がやりやすい。