HDDクラッシュとは?

HDDクラッシュが急増しています。夏期だけでなく、暖房の効いた室内でも条件は同じです。大事なデータを失わないために、このページをご一読ください。早期に気づくかどうかがポイントです。 (このページは予告なくなく変更されます。) 問い合わせはこちらまで

●ハードディスク・クラッシュとは?

パソコンは、熱や振動に弱い電子機器である。温暖化の進行する近年の暑い夏には、全国でたくさんのトラブルが発生している。その中で最も多いのがハードディスク・クラッシュである。

パソコンのハードディスクの寿命は、3年とも5年とも言われているが、HDDほど当たり外れの激しい部品はない。機器の出来不出来や使用環境によって極端に差がでる。工場出荷の時点から不良品の場合も多く、輸送中に受けたダメージで壊れることもある。一般のユーザーは、購入したばかりのパソコンが壊れているなんて考えもしないので、当然スキャンディスクやチェックディスクを実行して調査するなんてこともしないだろう。(2002年のF社の事件は記憶に新しい。同様の構造的欠陥は、どのメーカーでも発生しうる。)

また、安価なパソコンや古いパソコンには、冷却ファンが装備されていないものが多い。(特に薄型タイプ。)これがHDDの寿命を縮める原因のひとつになっている。冷却ファンが装備されていないケースに、7200rpm(回転/分)を越える、発熱量の多いHDDを取り付けるのもリスクが高い。直射日光も厳禁!一日中稼動し続けるのも問題である。

○ハードディスク・クラッシュの意味

ハードディスクを長期間使っていると、ディスク表面に傷がついたり、信号系統に異常が発生するなど、物理的に故障する確率が高くなる。些細な異常なら、自動的に修復してくれる。たとえば、ディスク表面の1か所に読み書きできない微少な傷がついただけならば、その部分を読み書きできる対象領域から外す。(こうした「傷」は「不良セクター」として認識される。)

しかし、あちこちに傷がつくと、修復が困難になり、致命的なエラーを引き起こすことがある。ハードディスク・クラッシュは、HDDの記録面にこうした傷がつき、物理的に機能しなくなることである。ユーザーにとっては、直前まで正常に動作していたのに、急にハードディスクが壊れたように見えるかもしれない。しかし、多くの場合は、かなり以前から、こうした傷が発生し何度も修復されていたのである。

論理的エラーであれば、ファイルをコピーし直したり、ソフトウェアを再インストールすることにより修復可能だが、これは物理的なエラーであり、ほとんどの場合、HDDを交換することになる。パソコンメーカーに修理を依頼すると、保証期間が切れてしまえば、購入時点の状態に戻すだけで、数万円の修理代が請求される。

○症状

したがって、できるだけ早期にクラッシュを予測して、まずは保存してあるデータファイルを事前に取り出し、速やかにHDDを交換する必要がある。次のような症状がでたら要注意である。

  1. 起動しない。
    Non-System エラーが表示され、起動しなくなる。BIOSでは認識されていても、HDD内のデータが読めなくなっている。


  2. HDDから異音が発生する。
    デスクトップ型なら、「カターン、カターン」、ノート型なら「カチン、カチン」といった一定リズムの音が聴こえる。(これは、HDDの読み書き用ヘッドが読めないファイルを探している時のアームの移動音。)

  3. 突然のフリーズが多くなる。
    特定のフォルダを開いたり、特定のアプリケーションを起動するとフリーズする。この時、無理に電源ボタンを切って終了すると、さらに傷が広がる。

  4. ドライブが見えない。
    マイコンピュータやエクスプローラを開くと、存在するはずのドライブ(たとえば「D:」)が消えている! これはHDDのドライブ基本情報が認識できないような重大なエラーが発生しているということ。

  5. 時々起動しなくなる。
    これは、かなり重症で、完全に起動しなくなるのは時間の問題。電磁波などが原因で誤作動する場合もあるが、HDDが認識されずに起動しない場合は致命的である。(Non-System Disk...のようなHDDが見つからないメッセージが表示される場合が多い。)

  6. 「S.M.A.R.T.」の警告メッセージが表示された。
    (後述)

●HDDクラッシュの原因は?

上記に、熱でクラッシュする例を紹介したが、原因は他にもある。振動である。稼動中のパソコンには、デスクトップ型であろうがノート型であろうが、振動は禁物である。また、厳寒の状態から急速に温度が上昇すると「露つき」(結露)が発生し、HDDが動作しなくなることがある。(寒い時期にエアコンをフル稼働させる等)これも、クラッシュの原因になることが多い。許容範囲を超える温度と急激な温度差は、電子機器には大変危険である。(パソコンの安全な稼動温度は、一般に5〜35度といわれている。)

パソコンの普及やインターネットの常時接続ユーザーの増加に伴い、電源を長時間入れたままにしたり、Webサーバーなどを自宅において24時間稼動させるケースが増えている。当然HDDへの負荷も高くなり、消耗し寿命が縮む。しかし、HDDがもっともクラッシュしやすいのは、パソコンを立ち上げて放置している状態である。つまり、通電中でHDDへのアクセス(HDDへの読み書き)がない状態が続いた場合である。通電中のHDDは発熱するが、アクセスがなければそれほど熱くはならない。しかし、長時間アクセスがないと、ヘッドのスライダに潤滑油がたまり易くなる。その状態で、久しぶりにアクセスが発生すると、初動時にスライダーに引っかかりが生じ振動する。この振動がクラッシュの原因になる可能性が高い。

このトラブルを未然に防ぐには、定期的にHDDの電源を切るように設定を変更しておけばよい。常に通電しておきたいなら、定期的(30分〜1時間程度)に、HDDにアクセスするユーティリティが入手可能であるので試してみてください。HDDへのアクセスタイミングが予想できないWebサーバーなどには効果的だろう。

また、地盤の弱い道路際の住居など、振動の多い場所に設置されたパソコンはさらに危険である。振動のたびにヘッドが記録面に接触する可能性が高くなり、結果的に不良セクターが増加し、トラブルの発生を早めることになる。

最もHDDクラッシュの確率が高いのは、異常終了等により、手動で電源ボタンをオフした場合である。「フリーズだからしょうがない」と思ってついやってしまうのだが、HDDへアクセスしようとしている瞬間にこれをやると、ハード上のエラーに加えて、HDDに保存される内容に矛盾が生じ、次回の起動時に何だかのトラブルが発生する可能性も高くなる。異常終了の多いパソコンについては、原因を追究し早めに修復するべきである。

参考: 磁気ディスクの構造と要点

●予防方法

ハードディスクが少しずつ壊れていくと、エラーの発生率が高くなったり、データを探す時間が長くなったりする。また、温度が異常に高くなったり、モーターが一定の回転速度になるまでの時間が長くなったりすることもある。こうした変化を監視する技術が、「S.M.A.R.T.」(Self Monitoring Analysis and Reporting Technology)である。

最近では、ほとんどのIDE接続のHDDには、「S.M.A.R.T.」が搭載されており、これを有効にしておけば、寿命が近づいて異常が増えてくると、パソコンの起動画面にメッセージを表示して警告することが可能である。(初期設定が「無効」であれば、BIOS側で有効にしなければならない場合もある。)このメッセージが表示されたら、速やかにデータをバックアップし、できるだけ早く新しいHDDに交換した方がよい。

また、「S.M.A.R.T.」の情報を参照する機能を有するフリーウェアもあり、パソコンに添付されているCD-ROMにも含まれている場合もある。こうしたソフトを利用すれば、ふだんから「S.M.A.R.T.」の情報をチェックできるので、突然のハードディスククラッシュの危険は少なくなる。

参考:「diskcheckup』(Passmark Software)のダウンロードサイト

●リカバリーの方法

○HDDに保存されたデータを救うには?

一度クラッシュしたHDDからデータを抽出するのは大変難しいが、ダメージの程度によっては、次のような方法で抽出できる場合もある。

  1. 冷やす、または暖める。
    低すぎても高すぎてもいけない。ゆっくりと、HDDが稼動できる適正温度にする。(ドライヤー、アイスノン等を利用して、人間が心地よく生活できる温度にする。)

  2. 市販のHDDユーティリティを使用する。
    CD-ROMから起動するか、または壊れたHDDを他のパソコンに接続し、市販されている専用のソフトを実行/インストールしてスキャンする。(1万円程度。)

  3. 専門業者へ依頼する。
    ただし、高額である。GB単位で数十万円かかるかもしれない。

また、他のパソコンにオプション・ドライブ(「D:」、「E:」等)として接続したり、SCSIのドライブとして接続することにより、一部抽出できた例がある。

○修理に出すのは妥当か?

実例であるが、3年間程度使用したノートパソコンがHDDクラッシュを起こしたため、製造メーカーに修理依頼をしたところ、HDDの交換と購入時点に戻す料金で、5万円(某日本のメーカー)〜7,8万円(某外資系メーカー)かかった。ノートパソコンでも「リカバリーCD」が添付されていれば、HDD(1万円〜2万円程度)を購入し、交換可能である。(わざと交換し難いパッケージングを行い、修理サービスで稼ごうとする傾向が強いので要注意。)安価に修復したい方はご相談ください。

○一般的なHDD交換のポイント

まず、交換の手順と必要条件を理解してください。メーカー製パソコンには通常、購入時点の状態に戻すリカバリー機能が標準装備されているが、この仕様と媒体により、リカバリーの方法が異なる。媒体がCDでなく、リカバリー機能がHDD内の別区画にある場合は、新しいHDDに区画を作成しコピーしなければならないかもしれない。

また、Windows の種類に応じて、起動ディスクや起動CD、「Fdisk」や「Format」などのコマンドを使用して初期設定を行なわねばならないかもしれない。専門知識を持たないユーザーが安易にHDDだけを交換しても元には戻らないのである。


■ユーザーの注意が全て

保証期間ならメーカーの無償修理が可能だが、HDDを交換し購入時点の状態に戻るだけである。HDDのデータが読めなくなる前に、日頃から上記のような症状に注意し、必要なファイルやフォルダをバックアップしておくことをおすすめする。起動しなくなってから(ドライブが認識できなくなってから)あわてて修理に出しても、データは救えない